UA値とは
近年、住宅の断熱性能に注目が集まっています。夏涼しく、冬はあたたかいという快適なくらしを実現するためには、住宅の断熱性の高さが重要になるからです。このような住宅の性能をだれでも分かりやすく知ることができるよう、2000年4月に「住宅性能表示制度」というルールが定められました。住宅性能を表示するためには共通の項目に沿って評価します。この評価項目のひとつになっているのが「断熱等性能等級」です。
断熱等性能等級を評価するためのポイントになってくるのが、家の中にどれだけ熱が出入りしやすいかを表すUA値です。UA値が小さくなればなるほど、熱の出入りがしにくく断熱性能が高いことを意味し、断熱等級も上がっていきます。
住宅の断熱性能は年々向上しているため、断熱当性能等級も基準が追加・改正されてきました。2023年現在では1~7の7段階に分けられ、7が最高等級となっています。
参考:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド」
省エネ住宅の断熱基準
断熱性の高い家のメリットは、住む人が快適に暮らせるだけではありません。住宅の断熱性能が高いと、室内温度が外気温に影響されにくいため、暖房や冷房といったエネルギーの消費を減らすことが可能です。このように、家庭で発生するエネルギーを削減できる省エネ住宅は、温室効果ガスの排出を減らすカーボンニュートラルの取り組みのひとつとして国も推奨しています。
2025年4月からはすべての新築住宅に省エネ基準の適合が義務付けられます。この「省エネ基準」も新しく追加・改正されています。ここからは、省エネ住宅の基準について確認していきましょう。
省エネ基準
省エネ基準のはじまりとなる省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)はオイルショックを契機として1979年に制定されました。この時は、地球環境を守る目的よりも、エネルギー危機に対応することを目的として、エネルギーを効率的に利用するために策定されました。その後、2023年現在までに住宅に関わる省エネ法は7回にわたって改正されています。
この省エネ法の改正にともなって、省エネ住宅の基準も強化されてきました。2016年の省エネ法改正では、建物の省エネ性能に関する基準が大幅に改正され、2022年に改正された省エネ法では、2025年4月以降すべての新築住宅にこの基準適合を義務付けることが定められました。
ZEH基準
省エネ基準を上回る指標がZEH(ゼッチ)基準です。ZEHとは、家の断熱性能を高めることに加え、効率的な設備によって消費エネルギーを抑えて、ソーラー発電などでエネルギーを生み出すことによって、一次エネルギー消費量の収支ゼロを目指す住宅を指します。2030年からは省エネ基準に代わり、ZEH基準が省エネ住宅の基準として段階的に引き上げられていきます。
HEAT20基準
地域によって異なる基準UA値
日本は南北に長く、地域によって気温差が大きいため、地域ごとに区分が分けられ、基準となるUA値が異なります。R+house守山・多治見のある岐阜県は、日本列島のほぼ中央にあるため、北側にある飛騨地方の大半は日本海岸気候、南側にある美濃地方は太平洋岸気候と気候の特徴が分かれています。多治見市は夏の最高気温が40℃を超すなど暑さが注目されがちですが、年間の平均気温は15℃前後と、東京と大差ありません。
岐阜県多治見市や愛知県名古屋市守山区は東京23区が設定されている地域区分と同じ「6」に分類されます。この6地域における断熱基準ごとのUA値は以下のようになっています。
【6地域における断熱基準ごとのUA値】